Knot MAGAZINE Vol.2
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 私が遠藤さんと出会ったのは、2003年のことでした。当時、私は経営する「NUTS」でインターネット販売を始めていて、おもに北欧ウォッチを日本の代理店から仕入れていました。そのうちのひとつ「SKAGEN」の日本代理店の社長をしていたのが遠藤さん。だからもう長いお付き合いですね。だけど2012年、SKAGENがアメリカの会社に買収されてしまったんです。 その前からも、遠藤さんとは「代理店ビジネスは今後、厳しくなると思う。少なくとも時計以外のブランドは、みんな直営に切り替えている」というお話をしていました。その矢先のことですね、遠藤さんから「SKAGENを失いました」と連絡が来たのは。そこで「いい機会だと思って、新しくブランドを自分たちで始めてみようよ」。そう遠藤さんと話し、Knotはスタートしたんです。どんなブランドにするか とはいえ「どんなブランドにするか」、つまりブランドのコンセプトを考えなければ始まりません。そこで、まずは「価格」に着目しました。実は当時の時計って、何十万円もする高級路線と、数千円の低価格路線に完全に二極化していて、1~3万円ぐらいの価格帯がスポっと抜け落ちていたんです。だからKnotはここを狙うことにしました。 次に、ヘッドとストラップを別売りにするという「販売方法」について2人で話し合いました。実は、私はSEIKOで働いていたころ、この販売方法を何度も提案していたんです。だって「このヘッドには黒じゃなくて、別の色のストラップを付けたい」と、誰でも一度は思いますよね。だけど大手は、ヘッド+ストラップのセットでひとつの商品として扱っているので、「管理上それはできない」と受け入れられませんでした。要するに自分たちの都合優先で、消費者のニーズにちゃんと対応していなかったんです。これもぜひKnotでやりたいと思いました。 そしてメイド・イン・ジャパン。実は、国内の大手メーカーでも、メイド・イン・ジャパンと名乗れる時計は貴重で、いまは中国製が多勢を占めています。そんな中、Knotはすべてメイド・イン・ジャパンで勝負したい。その想いは2人とも強かったですね。や沼尾保秀Knot取締役兼プロダクトアドバイザー。約16年間、SEIKOの商品企画を行い、グランドセイコーの再生や機械式時計の復活など数々の名作を世に送り出す。1998年、自らのウォッチブランド「NUTS COLLECTION」を創設、腕時計のインターネット販売を始める。販売方法、製造方法など、従来の時計業態にとらわれず、今の時代に相応しい新たなスタンダード腕時計を目指してKnotの創設に参画。YASUHIDE NUMAOKnot Director-Interview-Knotの始まりとこれからMaker’s Watch Knotは、どんな経緯でスタートしたのか、そして向かう先は。立ち上げメンバーの沼尾保秀が、代表遠藤との出会いを語ります。

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