Knot MAGAZINE Vol.2
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はり日本製は信頼感が違いますから。だけどこれが大変でした(笑)。 「日本製」と言うからには、部品の製作だけでなく、組み立ても日本で行わなければいけません。でも当時は、ほとんど国内に組み立て工場が残っていなかったんです。これはかなり探しましたね。そして今もお願いしている秋田県のセレクトラさんと会い、組み立てを依頼することができました。 ほかにも、思い起こせば、最初のころは本当に苦労の連続で(笑)。そもそもKnotの時計を作ってくれるメーカーがいなかったんです。ひとつは数の問題。私たちはベンチャーで始めたばかりなので大量発注はできません。しかしメーカーからは「ロット数が多くないと作れない」と言われました。次にコストの問題。「こういう時計をこれぐらいの価格で売りたい」と私たちの要望を言うと、「希望の品質ではコストが高くなりすぎて無理」と断られました。でもどうしても作りたかった。遠藤さんと2人で歩き回って、頼みまわって、そしてやっと、セレクトラさんにヘッドの製作をお願いできました。 そして昨年は、創業当時からの夢だった機械式時計「AT38」を作ることもできました。高精度のハイビートムーブメント、高度な金属加工技術を必要とするケース、文字盤、組み立てもすべて日本の工場で行なっています。このレベルの時計は、ほかにほとんどなく、国産ブランドでも高級ラインぐらいでしょう。なおかつ値段も5万円以下で提供できました。今、買っていただいた皆さまから高評価をいただいて、すごく嬉しいです。時計文化の本場に挑みたい Knotの強みとしてはもうひとつ、「直営店」という販売形態がありますね。Knotの時計は、お客さまに自由にカスタマイズを楽しんでもらえないと意味がないので、今のように、手に取って組み合わせを試せる「ギャラリーショップ」という形態になりました。4月に新しく表参道店をオープンしますが、これからも直営で、お客さまに直接手に取っていただける環境を作っていきたいと考えています。 そして次のステップは、海外です。現在、台湾・台北にギャラリーショップを構えていますが、メイド・イン・ジャパンへの信頼感はやはり、すごく高いと実感しています。まずは東南アジア、そして、いずれは時計文化の本場であるヨーロッパと北米に挑戦したいですね。特にヨーロッパはとてもシビアで、すごく大変だと思います。ヨーロッパに進出して成功した日本のブランドはほとんどありません。でも彼らに認められたら本物だと、私は思っています。Knotの旗艦店である吉祥寺ギャラリーショップ。設立1周年となる2015年3月4日にオープンしました機械式時計「AT38」。製造から部品1つ1つにまで限りなく“日本製”に拘り、開発に16ヶ月の歳月を費やしました国内の大手メーカーでも、メイド・イン・ジャパンと名乗れる時計は貴重です

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