Knot STYLE BOOK
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傘地を使った美しい時計ベルトは甲斐の国(山梨)の槙田商店で紡がれる。皇室御用達の傘をつくる槙田商店の工場からは、富士山が見える。創業は1866年、江戸の末期である慶応2年から160年余りにわたって美しい生地を届けつづけている。郡内と呼ばれる山梨西部のこの地域は、江戸時代から絹織物の産地であった。米の代わりに年貢として納めた甲斐絹の織物は、その美しさから江戸の旦那衆に愛され、奢侈禁止令が出されてからも、着物の裏地として使われていたほどだと伝えられる。槙田商店は絹の買継商として創業。その後、富士山の豊かな湧水を利用した先染めの織物を手掛けるようになった。化学繊維の台頭に伴って、服地から傘地の織物に特化したビジネスに大きく舵を切ったのは1954年のこと。いまでは、糸を染め、生地を織り、傘の組み立てまで行う日本でただひとつの企業となった。社内のデザイナーが大胆に緻密に考える美しいジャカード織りは、ミラノで行われる生地見本市など、海外でも高く評価されている。 「経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の無限の組み合わせで、プリントでは表現できない生地が生まれます」。6代目の槙田洋一さんが、12台並ぶ織機の音が絶えない工場を案内しながら、そう教えてくれた。ノットの創業社長である遠藤弘満は、起業に際して「日本のモノづくりを結ぶ時計ブランド」のコン※価格はすべて税別です。Knot STYLE BOOK10

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