Knot STYLE BOOK
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服飾ジャーナリスト山本晃弘2008年に、編集長として「アエラスタイルマガジン」を創刊。2019年にヤマモトカンパニーを設立し、服飾ジャーナリストとしても活動中。30年以上にわたってメンズ雑誌に携わってきたご意見番。ザーにもそれが伝わっているのでしょうね。遠藤 私は時計メーカーに勤務したことはなく、前職では時計のマーチャンダイジングを担当していました。ですから、技術者の目線は最初からありません。いっぽうで、コンセプトを伝える重要性を実感していたのです。山本 “コンセプトファースト”ですね。遠藤 コンセプトが具体的であればあるほど、モノづくりに協力してくれるパートナーはきっと現れるはずと思っていましたので。山本 「メイド・イン・ジャパン」に関しては、手を組みたいパートナーを記した極秘メモが最初からあったそうですね(笑)。遠藤 おかげさまで、当初の目論見の8割くらいのパートナーにご協力いただいています。3本柱のうち、最初に着想したのは、「プライスバリュー」です。影響を受けたのは、アイウェアのSPAブランド。クオリティを担保しながら低価格を実現してしまうことに驚きました。腕時計にもやがてそういう時代が来るのでは? と思ったら、その嚆矢には、私がぜひともなりたいと思ったのです。山本 なるほど、それで起業を。では、「カスタムオーダー」についてはいかがですか?遠藤 マーチャンダイザーとしての経験が大きいです。ストラップを気軽に替えたいというユーザーの声は多かったのですが、ブランドの都合で対応できない現状がありました。ただ、前職時代に扱っていた北欧ブランドの腕時計で、本体とストラップをバラして自由に組み合わせができるフェアを1週間にわたって開催したところ、大人気(笑)。この頃から、カスタムはイケると確信していました。山本 最後に「メイド・イン・ジャパン」。遠藤 まず、日本で時計を作る、と考えたときに、大手メーカーのOEM部門に依頼をすれば、もちろん生産はできます。ただ、コストが合わない。私たちは「プライスバリュー」もうたっていますから。そこで、国内工場との直接取引を考えました。そうすれば、中国生産における歩留まりや貿易のコストを考慮すると、コスト的に大差はなかったのです。だだ、この時点で、日本で時計を作ってもらえるアテは何もなかったですけどね(笑)。山本 その勇気がすごいなぁ。遠藤 決めちゃったので、あとは動くだけ。ひたすら工場にお願いするのみ。山本 もうひとつ、私が考えるKnotの魅力に、実店舗におけるグラフィカルなディスプレーがありますね。遠藤 ネット販売を強化すればするほど、それで足りないところが見えてきます。それは、体験の部分。実店舗があれば、着けて選ぶ、というデジタルではできない体験ができます。双方あって、初めてKnotなんですよ。山本 いつお店を訪れても、来店しているお客さんの目が輝いていて、楽しそうです。遠藤 お店を見ると、世にいう「腕時計離れ」は感じられません。Knotで、時計を身に着ける楽しさを、満喫していただきたいですね。「メイド・イン・ジャパン」は最後のピースだったんです実店舗では、本体やストラップのバリエーションを美しくディスプレー。実際に着け外しを楽しみながら、腕時計のカスタマイズが可能。撮影は表参道店。ストラップは、山梨の傘生地メーカー〈槙田商店〉特製。Teruhiro YamamotoKnot STYLE BOOK07

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